
じっちゃまのTwitterでヴィーバ・システムズ(VEEV)に注目しているとのことなので、調べたことをかんたんにまとめておきます。
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じっちゃま(広瀬隆雄さん)YouTube
※ヴィーバ・システムズ(VEEV)のお話はこちら2020年度7月6日のじっちゃまYouTube開始11分2秒後あたりからはじまります。以下、SaaS銘柄の決算の見方と合わせてかんたんにまとめておきます。
SaaS銘柄とは?
サブスクリプション銘柄のメリット
まず、サブスクリプション(subscription)とは日本語では定期購読(定期購入)と訳されています。つまり、毎月定額の料金を支払いながら、サービスを受けるような購入形態を指します。
具体的にサブスクリプションモデルを採用している銘柄を列挙すると、アトラシアン(TEAM)、オクタ(OKTA)、ズームビデオ(ZM)、モンゴDB(MDB)、ヴィーバ・システムズ(VEEV)………などです。
サブスクリプションモデルの特徴としては、月初に前月の売上高と同じ金額の売上高が確実に立ちます。
ですので、売上高の予想が非常にしやすいです。これは非常に重要な特徴です。英語でいえば “visibility(=見通し)” が高いということです。投資家は visibility が高い企業に喜んで高い株価評価を付与します。
たとえば、最近でいえばアップル(AAPL)があげられると思います。現在、サブスクリプションモデルにやり直している最中ですが、その発表後に株価は大化けしています。
アップルの売上高はそれほど伸びていないのに株価が上がったのは、サブスクリプションモデルにしたことで今後の収益のvisibilityが高まったと投資家が判断したと言えます。
サブスクリプション銘柄のデメリット
サブスクリプションモデルでは売上高が下がるリスクもあります。それは解約リスク=顧客離反率です。
顧客離反率は低ければ低いほど良いです。既存顧客が以前より大きなサービスパッケージを購入したということから顧客離反率を引き算したものは、どれだけお客さんを繋ぎとめることができたかという尺度として”net dollar expansion” を使います。
Net dollar expansionが130%と発表されたら1.3倍になっていると理解します。また、サブスクリプションモデルの企業の多くはフリーミアムモデルというものを採用しています。
これは最初は無料でそのサービスを使ってもらい、その良さをわかってもらってから、ある時点で課金するというものです。
サブスクリプションモデルの苦しいところは、無料で使う相手にもサービスを提供しなければならないところです。
また、クラウドを通じて常にソフトウェアが提供されていなければいけないので、サービスの中断があってはならないのです。ですので、ネットワーク保全が非常に重要になります。
サブスクリプション銘柄に投資する際に気をつけなければいけないこと
サブスクリプションモデルでもうひとつ気をつけなければいけないことは、売上高の計上のやり方です。
売上高は使用した分の月数だけ計上されるので、見かけより小さく始まります。その点に気をつけてください。
一般の売りきりのソフトウェアの場合は、購入した時点で耐用年数分(2年なら2年分)の売上高が最初に計上されます。
言い換えれば、売上げが前倒しで立つということになります。これに対してサブスクリプションモデルは毎月課金なのでひとつの顧客を獲得しても売上高が最初に増えるということはないです。
たとえば2年契約なら、四半期では24ヶ月分の3ヶ月分である1/8しか売上高に計上されないということです。
もっといえば、実際の実力よりも売上高が過小報告されているということなので、ここをしっかり理解しないと「PSRでもう40倍まで買われている!割高だ!」というようになってしまいます。
通常のソフトウェアの会社と比べて、サブスクリプションモデルでは1/8のみを四半期で計上するので、通常のソフトウェアの会社の8倍高いPSRを払ってもおかしくはありません。
「どうも規模感がつかめない」という投資家が多いですが、企業の決算でARRという項目を見てください。ARRとは”Annual Recurring Revenue”の略で、年率換算した売上げ規模という意味です。
つまり、現在いる顧客が今後1年間も顧客で居続けたとして、ビジネスが増えもせず、減りもしなかったら売上高の規模がどのくらいになっているのを示したのがARRです。事業の規模感をつかむということでは、ARRは役に立つと思います。
じっちゃまおすすめのSaaS銘柄を分析する際に重要なことが書いてある本は、こちらの『サブスクリプション』ティエン・ツォ著です。
ヴィーバ・システムズ(VEEV)について
ヴィーバ・システムズ(VEEV)はライフ・サイエンスに特化したクラウド・サービスです。創薬というのは非常に規制業種です。
ひとつひとつのリサーチのステップや臨床のステップをきちんと記録・コンプライアンスをしていくルーがんじがらめです。
それらのペーパー・ワークを全部オンラインに移行して、ルールに基づいて記録するプラットフォームを提供しているのがヴィーバ・システムズです。
ですので、一度ヴィーバ・システムズのサービスを採用すると、「使わない」という選択肢はありません。非常にスティッキーで一度顧客になったら離れないという有用なビジネスです。
※Zai Online の最新のじっちゃまの記事によると、ヴィーバ・システムズは製薬会社を顧客とし、研究開発や臨床試験、新薬承認、マーケティングなどの重要な活動を効率化するソフトウェアを、クラウドを通じて提供している企業です。
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ヴィーバ・システムズの数字
売上高推移
以下のグラフはヴィーバ・システムズのウェブページの四半期報告をもとに作成しています。2021年度第4四半期の売上高は3.97億ドルで、前年同期比で+27%の成長率、サブスクリプション売上高は3.23億ドルでした。

非GAAP営業利益推移
2021年度第4四半期の非GAAP営業利益は1.53億ドルで、前年同期比+41%でした。

営業キャッシュフロー推移
2021年度第4四半期の営業キャッシュフローは6835万ドルでした。

2022年度第1四半期ガイダンス

2021年度第4四半期のガイダンスは上記の画像の通り、売上高は4.08億ドル〜4.1億ドル、EPSは77セント〜78セントが示されていました。
2022年度通年ガイダンス

2022年度の通年のガイダンスは売上高17.55億ドル〜17.65億ドル、EPSは~3.20ドルが示されていました。
ヴィーバ・システムズ(VEEV)の株価
ヴィーバ・システムズの株価は3月8日の終値時点で241.17ドルです。なんかこのチャートは頑張ってカップウィズハンドル形成しているところにもろ打撃を被ってるように見えます。邪魔をするな。


以上です!!