
今回はおなじみのじっちゃま(広瀬隆雄さん)のセクターダイヤグラムの図をハイテク銘柄で検証してみました
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じっちゃま(広瀬隆雄さん)のセクターダイヤグラムとは?
じっちゃまのセクターダイヤグラムとは下の図1のことです。じっちゃまを参考にしている方は一度は見たことある図かと思われます。
下の図1は、一般に金利・景気によってパフォーンスの出やすいセクターの関係を表してます。(出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ)
図1

左上から順番に見ていくと、金利が低く景気が強い時は、金融株とハイテク株がアウトパフォームしやすく(オレンジの部分)、金利が低く、景気も弱ければ景気に左右されない通信株、ヘルスケア株、消費安定株、公共株がアウトパフォームしやすいです(ブルー)の部分。
そして金利が高く、景気も強ければ工業株、素材株、消費循環株が強いです(グレーの部分)。金利が高く、景気が弱ければエネルギー株がアウトパフォームしやすいとのことです(イエローの部分)。
内側と外側にあるセクターがありますが、グラフのなかで外側にあるセクターほどアウトパフォームしやすいという位置関係を表わしています。
前回(ラウンド1)の振り返り
この金利と景気、アウトパフォームしやすいセクターの関係について、前回のラウンド1では各セクターETF株価データを使用して調べました。
使用したデータは過去20年分のバンガード社のセクター別ETFの株価データと、米国10年債利回り、Coincident Index(2007年=100とした経済活動指数)です。すべて月ごとのデータを使用しました。
前回の記事はこちらです。
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データセットと推計結果
今回はそのラウンド2として、個別銘柄のデータを使用して金利と景気が与える影響を調べてみました。第1回目はハイテク(information and technology)セクターについてです。
データはS&P500 Information and Technology 指数に組み入れられている68銘柄です。代表的なのはGAFAMやビザ、マスターなどです。
これらの銘柄の2005年4月~2020年12月までの各月の株価を従属変数として、長期金利、景気(Coincident Index)で説明しようと試みました。
アメリカのハイテク銘柄の株価には、技術進歩のスピードがかなり寄与していると思うので、JASDAQ指数をコントロール変数として入れています。
この仮説から導きだされる推計式は以下の通りです。

X1が10年債利回り、X2がCoincident Index、X3がJASDAQ指数です。なお添字の i は各銘柄、t は各年各月です。こちらを統計解析ソフトを利用してOLS法で分析しました。以下が分析結果です。

決定係数と10年債利回りの有意性がよくありませんが、金利と景気の符号はそれぞれマイナスとプラスでセクターローテンションの図と整合的です。
推測結果が必ずしも良くないことからは、個別株はさまざまな変数の影響を受けるので、株価を予測するのはそれだけ難しいことだということもわかります。
下の表は前回ETFで推計した結果ですが、ハイテクセクターの決定係数は0.913とよいです。

過去の数字が示唆しているのは、個別銘柄よりもETFのほうがはるかに予想しやすいとのことです。当たり前のことかもしれませんが推計するとよくわかります。
初心者は個別銘柄よりも、ETFなど買えばいいというのもこの結果が示しています。しかし、ETFは個別銘柄のように大きな値動きはしないので、どちらが良いかはその人次第かと思います。
まとめ
今回はハイテクセクターについて、個別銘柄で検証しました。決定係数と10年債利回りの有意性がよくありませんが、金利と景気の符号はそれぞれマイナスとプラスでセクターローテンションの図と整合的でした。
また、個別銘柄の株価予測はそれぞれの銘柄がさまざまな変数の影響を受けるので難しいです。やっぱETFはいいですね。特にバンガード社のETFは最高ぅぅぅぅぅ!なのではないかと思います。
実は他の社のETFでも同じ条件で一度検証してみたのですが、決定係数が0.5ぐらいでした。賃金くれればもっと真剣に推計して、バンガード社ETFのリスクの少なさをアピールできると思うので、これ読んだら雇って欲しいです!!
次は金融セクターについて検証する予定ですが、データをつくるのが面倒なので、まあぼちぼちやっていく感じにはなります。