
今回はじっちゃまのYouTubeライブから「強き相場の最終局面」などについてのお話をまとめました。
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じっちゃま(広瀬隆雄さん)YouTubeライブ
※相場の天井・大底と経済指標についてのお話は、こちら2020年3月6日のじっちゃまYouTubeライブ開始後すぐにはじまります。
強気相場の最終局面
1970年代から80年代に活躍した投資レターの著者でジョセフ・グランヴィルという罫線家がいました。
グランヴィルは「弱気相場というものは、昼間に玄関の呼び鈴を押して正面から訪問するようなことはしない」と言っています。
むしろ、「みんなが安心して寝静まっている時にこっそりとほっかむりをして裏口から忍び込んでくる」と彼は言いました。
実際に強気相場の最終局面というのは、景気はよく企業業績も堅調です。だから GDPや失業率、ISM景況感指数を見ても変化を感じられないケースの方が多いです。
すべての経済指標がよいにも関わらず、なぜかわからないけれども株価が上がらない、あるいはチャートを見たら知らず知らずの間に三尊天井みたいな形になってることは実際に非常に多いです。
そういう局面では普通マーケットでは楽観論が蔓延しています。例えばバロンズの新春株式座談会のような場でも楽観論が多く、識者の意見も「強気」で一致していたりします。
そして、通勤電車の中吊り広告を見ると「投資」という文字が踊っていたりします。普段は投資の話などしない友達が「FXや株、投資信託やったほうがいいかね」という状況などが警告サインと言えるかとも思います。
相場の天井圏

通常、相場の天井圏では新高値銘柄数が最初に頭打ちになります。そして、だんだんとリーダー銘柄数が絞り込まれてきて、ごく一握りの勢いの良い銘柄が無理やり指数全体を押し上げるラリーの状況になると思います。
その一方で、上昇銘柄数-下落銘柄数の差をプロットした騰落線(AD ライン)が株価指数よりも一足先に下落基調に入ると言われています。
なぜ株価指数よりも騰落線の方が重要かというと、株価指数は、ダウ工業株価平均指数は30銘柄のみ、s&p500指数だと500銘柄のみ、日経225なら225銘柄のみなのでマーケット全体の強さは示してはいないのです。
マーケット全体の強さを示しているのは、すべての上場銘柄のうちの上昇銘柄数-下落銘柄数を計算することが、もっとも幅広いマーケットの動きを象徴していると主張するテクニカルアナリストがいるいうことです。
ブル・トラップ(強気の罠)とは

現在(ライブ放映時)のようにマーケットが下がりはじめている局面では、「ブルトラップ」と呼ばれる現象が起こります。これは日本語では「強気の罠」と翻訳されていることが多いです。
「強気の罠」とはマーケットが下がった後で突然盛り返すことです。投資家はそのブル局面を見て「もう大丈夫」と飛びつきます。しかし、その後力なくマーケットが下がります。
そのような間欠的に強い局面があって、その度に投資家が飛びついてはやられ、飛びついてはやられることを繰り返しながらベアマーケットというのは進行していきます。
そして、株価が明らかに調整局面に入っただいぶ後で経済指標に変化が見え始めます。具体的には製造業購買担当者指数が悪化したり、設備稼働率の下落、高利回り債(例:HYG)などのパフォーマンスが劣後してきます。
いずれにせよ、そのようなデータポイントで景気の悪化が確認できるのは、株式市場が下がっただいぶ後だと思います。別の言い方をすれば、株価の下落が早期警戒シグナルとしてはもっとも早いと主張する人もいます。
相場の底入れ局面

ガンガンに出来高が伴っている局面ではなかなか相場は底入れしないです。高水準の売買を伴いながらマーケットはズルズル下がり、その後でようやくGDPや失業率の指標も悪化し始めます。
そうすると投資家は「もう株はダメだなぁ」というカタチで株式市場を去り初めて出来高が細り始めると思います。
別の言葉では「相場が枯れた状態」ということです。つまり、そのような状態がしばらく続かないと相場は本格的には出直らないということです。
株式市場の調整

株式市場の調整には大きく分けて「値幅」と「日柄」という概念があります。値幅というのは株価が下がった「下げ幅」のことです。日柄というのはマーケットが下がってからどのくらい時間が経過したかという「経過時間」のことです。
そして調整というのは値幅だけが下がったということは、次の上昇に向けて良いといえば良いことだけれども、それだけでは必要十分な条件を満たしてないです。
値幅と同時に「休む=日柄」ことが非常に重要なのです。三圃式農業というものがありますが、それは農地を3つに分けて、①秋に小麦やライ麦を栽培する農地、②春に大麦や大豆を栽培する農地、③何もせずにただ放置しておく農地をサイクルにして高い作柄を維持する方法があります。
三圃式農業からわかるように、農地というのはしばらく休ませないとダメなのです。相場も同じく四六時中トレードしている態度というのはよくなくて、休まなくてはいけない時には休んだほうがいい局面もあるんだということを頭に入れておいてください。
出直りが遅いセクター
とりわけマーケットでいうと、直近で最も人気化してたセクターがベアマーケットに入っていた局面では、もっとも調整が長引くケースがあります。
例えばドットコムブームでは、ハイテク株がすごくいじられました。その後ベアマーケットがきた時はもっともハイテク株の出直りが遅かったです。
その例のごとく、あまり遊びすぎるリカバリーが遅くなる側面があります。そういうことも気をつけておいた方がいいんじゃないかなと思います。
個人投資家は地合が悪ければ休めばよい

機関投資家というのはフルインベストメントのバイアスがかかっていると思います。つまり最終受益者から運用すべきお金を預けられているので何もしなかったら「お前何やってんだ」と何もしないことに対して給料を払わないという言われるわけです。
常に何か投資してないといけないという強迫観念に駆られます。個人投資家の場合はそのようなことはないので「環境悪いなぁ」と思ったら休めばいいわけです。
しかし、株式市場の参加者の中にはなかなか休めない人たちもいます。そして、最終的にどのようなカタチでベアマーケットがボトムアウトするかというと、そのなかなか休めないたちですら休まなくてはいけない、つまりは出来高の閑散です。
株価も下がって、出来高も細っている。そもそも株式市場に対する世間の興味関心がものすごく薄れてきてたような「枯れた相場」の時に、マーケットは買い場になると思います。
だからまだみんながガチホでグーッとこらえながらそのポジションを抱えているというような状態ではなかなか相場が出直りにくいと一般的には言われてます。
株式市場の場合弱気相場がに入ってから景気指標が悪化しはじめるまでに1年くらいかかる場合もあります。
だからマーケットが本格的に出直るまでに、経済指標だって1年経たないと悪くならないんだから株式市場が出直るにはもっと長い期間を要するケースもあるかもしれないということです。
買いのタイミング

実際に設備稼働率や鉱工業生産が自動車販売台数が住宅着工件数が上向き始めているにも関わらず、投資家はもう興味を失っている時が買いに行って安全な時だと思うのです。
そのような局面では個人投資家はお金を損するということに関してアレルギー的な反応を示します。だから「株なんて金輪際やらへんぞ」というような投資を敵視するようなムードが出てきた時が投資するタイミングとしては一番安全です。
そして、買い場が来ても「今が買い場ですよ」と教えてくれる人はいません。例えばマスコミも株式市場が上がりはじめているのに、全くそれを報道しようとしなくなります。
つまり、メディアも株式に対して興味を失います。だから相場が静かに反転しているにもかかわらず、それに気付く人はほとんどいません。そういうような時にしっかりとマーケットが底入れすると僕は考えています。

以上、おわりです。